PandaRin4’s blog

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Veeam Backup & Replication v11 のオフラインアップグレード手順

VBRのv11がリリースされたのでオフラインでのアップグレード手順について記載します。今回の手順はVBR10からVBRv11にアップグレードする例です。

ちなみに今回は メジャーバージョンアップのため自動アップデートの対象外です。

 

VBR10からVBRv11へのインプレースアップグレードの前提条件ですが、VBR9.5u4b 以降である必要があります。
ちなみにVBR9.5からVBR10へのアップグレードの前提条件は、VBR9.5u3 以降でした。よって、VBR9.5u3よりも古いバージョンからのアップグレードを行う場合は、一旦 VBR9.5u4b 以降にアップグレードする必要があります。

なお VBRv11 RTM を使用していた場合は、Day 0 Update を適用する必要があります。Day 0 Update を適用するとVBRv11 GA にバージョンアップされます。

 

VBRv11 がサポートする vSphere および vCSA のバージョンは、5.5 ~ 7.0 U1 です。
余談ですが、来年リリースされる(であろう)VBRv12 では、5.5がサポートから外れることが見込まれます。そのため ESXi5.5 ユーザーにとっては、VBRv11 が非常に重要なバージョンとなります。

※ ESXi7.0 U1のサポートは、VBR10a と同じです。


本バージョンであるVBRv11 が適用されると ビルド表記は"11.0.0.837"となります。

VBR9.5u4b 9.5.4.2866

VBR10 10.0.0.4461

VBR10 P1 10.0.0.4461 P1

VBR10 P2 10.0.0.4461 P2

VBR10a 10.0.0.4854

VBRv11RTM 11.0.0.825

VBRv11GA 11.0.0.837

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その他にVBR10a とVBRv11の異なる条件としては、VBR Server と VBR Console のインストール条件に以下のように若干の変更点があります。

Microsoft PowerShell 5.1

※ VBR10aまでは、Microsoft PowerShell 2.0


なお、最近リリースされた Veeam Disaster Recovery Orchestrator v4 は、VBRv11 がサポートされています。


アップグレードにあたっての詳細な条件につてはリリースノートを確認してください。

https://www.veeam.com/veeam_backup_11_0_release_notes_rn.pdf

 

 

こからアップグレード手順になります。


まず有効化されているジョブを全て無効化します。全てのジョブを無効化したらVBRコンソールも終了します。
これは、パッチ適用中にバックグラウンドでジョブが開始されることを防ぐために必要な手順となります。なお、ジョブにはバックアップジョブだけでなく他のジョブ(バックアップコピーなど)も含まれます。

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パッチ適用中はジョブは実行できなくなります


なお、無効化していないジョブがある場合や、VBRコンソールを終了していない場合はエラーメッセージが出力されインストールが継続できないようになっています。
コンソールを終了していない場合もエラーが表示されます。

 

 

ダウンロードしておいた"VeeamBackup&Replication_11.0.0.837_20210220.iso"をマウントし、"Setup.exe" を実行します。

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インストーラーが表示されるので "Upgrade" をクリックします。

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エラーが出力される場合は、このタイミングで表示されます


なお、VBRサーバの.Net Framework等が条件に満たない場合は、インストールを促されます。
注意点は、VBRのアップグレードではOSの再起動は伴いませんが、.Net Framework等のインストールではOS再起動が必要な場合があります(再起動が必要かどうかはOS側に依存します)。既存環境の実装状態によっては再起動が必要であることに注意しましょう。

再起動のタイミングは任意で選択可能です。

 


許諾して "Next" をクリックしましょう。なお、コピーは 『veeam.com/eula.html』 にあります。

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EULAです



既存システムにインストールされているコンポーネントが表示されます。"Next" をクリックします。

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ビルドNoも確認できます



ライセンスファイルを指定します。
注意点としては、ライセンスファイルは VBR10 で形式が変更されているため、VBR9.5u4bからアップデートする場合は、VBRv10 以上のライセンスファイルが必要です。
なお、VBR10 からアップグレードする場合は、VBRv11 のライセンスファイルは不要です。現在使用している VBR10 のライセンスファイルを指定可能です。(VBRv11のライセンスファイルも指定可能です)

なお、Community Editionの場合は、ここで何も指定せずに "Next" をクリックします。

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.licファイルを指定します



不足しているコンポーネントがチェックされ、不足している場合は "Install" をクリックすると included in setup が開始されます。

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コンポーネントの Included in setup が終了したら "Next" をクリックします。

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ローカルのアドミニストレータアカウントを指定します。インプレースアップグレードなのでそのままの状態で "Next" をクリックします。

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VBS (VBR構成データベース) を指定して "Next" をクリックします。

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コメントが出力されますが "はい(Y)" を選択します

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プロキシサーバなどのリモートコンポーネントも同時にアップグレードする場合はチェックボックスにチェックを入れます。
なお、VBRコンソールにてあとから個別にアップグレードすることも可能です。
注意点としては、リモートコンポーネントVBRをインストールしている場合、そのVBRのジョブも全て無効化しておく必要があります。かりにジョブを無効化せずに実行した場合は、リモートコンポーネントのアップグレードのみ失敗します。

"Install" をクリックするとインストールが開始されます。

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Installation succeededと出力されるとインプレースアップグレードのインストールフェーズは完了です。"Finish" をクリックします。

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インストーラーを閉じ、isoファイルをアンマウントします。

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アップグレード後はコンソールを起動します。

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コンポーネントのアップグレード確認画面が出力されるのでアップデートする対象を選択して "Apply" をクリックします。

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なお、注意点としては、アップグレード直後はVBR構成データベースが最適化されているため、VBRサーバのパフォーマンスが低下する可能性があります。この最適化はデータベースのサイズに依存しており、1時間程度かかる場合もあります。


オフライン環境のインプレースアップグレード手順は以上です。

 

VBRv11になりました。